ChatGPTなどの生成AIというと、「文章を作る」「質問に答える」といった使い方を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、仕事での活用範囲はそれだけではありません。資料のたたき台、要約、アイデア出し、データ整理、そしてプログラミングやRPA開発の支援まで、工夫次第でさまざまな業務を手伝ってもらうことができます。

生成AIは「仕事を代わりにするもの」だけではない
生成AIは、人から与えられた指示や情報をもとに文章、コード、アイデアなどを生成できます。すべてを丸投げするというより、作業の最初のたたき台を作ってもらったり、人と一緒に考える相手として利用したりすると力を発揮します。
文章作成・要約・アイデア出し
メール文章の下書き、長い文章の要約、会議内容の整理、企画案のアイデア出し、マニュアルの構成などは代表的な使い方です。
ゼロから文章を考える時間を短縮し、人間は内容の確認や判断、相手に合わせた調整に時間を使えます。
プログラミングは生成AIの得意分野の一つ
生成AIはプログラミング支援にも活用できます。例えばPython、JavaScript、PowerShell、VBAなどについて、要件を説明してコードのたたき台を作る、既存コードの意味を説明してもらう、エラーの原因を一緒に調べる、修正案やテスト方法を考えてもらう、といった使い方があります。
現在は、コードの作成・レビュー・デバッグなどソフトウェア開発を支援するAIツールも提供されており、生成AIの重要な活用分野になっています。
ただし、生成されたコードが常に正しいとは限りません。実際のシステムへ組み込む場合は、仕様との一致、セキュリティ、エラー処理、テストなどを人間が確認する必要があります。
RPAのロボット構築も手伝ってもらえる?
RPAでも生成AIを活用できる場面があります。RPA製品によって機能や作り方は異なりますが、例えば「この業務をどの順番で自動化するか」という処理フローの整理、条件分岐や例外処理の検討、RPAから呼び出すスクリプトの作成、エラー原因の調査などをAIに手伝ってもらえます。
製品や環境によっては、自然言語による指示やAI機能を使って自動化作成を支援する仕組みもあります。
つまり、人が業務を理解して設計し、AIに一部の構築や検討を手伝ってもらうという使い方が現実的です。RPAエンジニアにとっても、AIは仕事を奪うだけの存在ではなく、開発を効率化するパートナーになり得ます。
RPAと生成AIは得意なことが違う
RPAは、決められたルールに沿った定型処理を正確に繰り返すことが得意です。一方、生成AIは文章の理解・生成や、ある程度柔軟な判断を必要とする作業を支援できます。
例えば「決められたシステムからデータを取得する部分はRPA」「文章を要約・分類する部分はAI」「結果を別システムへ登録する部分は再びRPA」といった組み合わせも考えられます。
仕事で使うときの注意点
便利だからといって、会社の機密情報、個人情報、顧客情報、パスワードなどを許可なく生成AIサービスへ入力してはいけません。会社のルールや利用しているサービスのデータ取り扱い条件を確認する必要があります。
また、AIの回答には誤りが含まれる可能性があります。重要な判断や本番システムへの反映は、人間による確認とテストを前提にしましょう。
まずは小さな仕事から試してみる
生成AIを仕事で活用するときは、いきなり大きな業務を任せる必要はありません。「このメールを読みやすくして」「この処理の考え方を整理して」「このコードのエラー原因を一緒に考えて」といった小さなところから始めると、得意・不得意が見えてきます。
【実践編】生成AIを仕事で使うための3ステップ
生成AIを初めて業務に使う場合は、「入力してよい情報を整理する → 下書きを作る → 人が確認する」という流れから始めると進めやすくなります。企業で利用する際は、まず勤務先が承認したサービスと利用ルールを確認してください。

例1:メールの下書きを作る
架空の内容で、次のように依頼できます。
「取引先への日程調整メールの下書きを作成してください。候補日は11月5日と11月6日、所要時間は30分。丁寧で簡潔な日本語にし、件名も付けてください。会社名・人名は仮名にしてください。」
生成された文章は、そのまま送信せず、日付・宛先・敬語・記載内容が正しいか確認します。
例2:Excel作業の手順を整理する
「毎月、注文一覧CSVから商品別の合計金額を集計しています。実データを使わず、作業手順を初心者向けに5段階に整理してください。確認すべき例外(空欄、重複、返品)も挙げてください。」
このように、最初は業務データそのものを入力せず、処理方法だけを相談する使い方もできます。
例3:RPA開発前の要件整理
「架空の受注業務をRPAで自動化する場合の要件定義チェックリストを作ってください。入力元、処理条件、例外対応、権限、ログ、担当者による確認、保守の観点を含めてください。」
生成AIは開発の相談相手になりますが、実際のプログラムやRPAの動作については、テスト環境で検証し、運用担当者による確認を行う必要があります。
使い始める前の確認リスト
- 会社・顧客との契約で認められたツールを使用しているか
- 個人情報・認証情報・未公開資料を無断で入力していないか
- 回答に含まれる日付、数字、根拠を確認したか
- 生成したコードや関数を本番環境に直接適用していないか
- 最終判断と責任を人が担う運用になっているか
まずは「社外秘情報を必要としない、小さな下書き作業」から試すのがおすすめです。関連する注意点は、櫻テクノロジーズの生成AI関連記事でも紹介しています。
まとめ
生成AIは文章作成だけでなく、プログラミングやRPA・DXの開発支援にも活用できます。特に、要件を整理して具体的な指示を与え、生成結果を人間が確認するという使い方では、非常に心強い道具になります。
「AIに仕事を全部任せる」のではなく、「人とAIでどう分担すれば仕事が楽になるか」という視点で考えることが、業務活用の第一歩です。
